2012年度 公益社団法人守山青年会議所 理事長所信

2012年度理事長
西本篤志

諦めない強い志を
〜大切なものを守るために、強くなる〜
【 はじめに 】

 2011年3月11日14時46分、わが国が今までに経験をした事のない大地震とその影響による大災害が発生した。当時、私は友人と海外旅行中であり、この震災がもたらした多くの不幸を実感したのは恥ずかしくも震災が起こった2日後であった。日本に帰国した私はメディアを通して被災地の様子や原子力発電所の状態を確認した。津波はまるで黒い悪魔のように沿岸部の町を飲み込み、かつてこの場所で人々の営みがあったとは思えない状態までにした。また、福島の原子力発電所では未だに放射能汚染が懸念される状態であり、この大災害がもたらす被害は日本全土に波及し終戦直後以来の国難として影響を及ぼしている。しかし、このような最悪の状況下でも我々日本国民は不撓不屈の精神で這い上がろうとしている。互いを助け合い、国民が一丸となってこの国難に立ち向かう姿は私が生きてきた中では経験のない事であり、私はその復興に挑む多くの国民の精神と行動に改めて感動し涙した。 諦めなければ道は拓かれる。そんな簡単な言葉ではこの国難を済ますことができないが、この言葉には希望がある。その希望がある限り我々は次の世代へこの精神を伝えなければならない責任がある。

【 己を律することから始める 】

 会員の拡大を行う上で最初から諦めてはいないか。「どのように勧誘したらよいか分からない」「私が勧誘するよりも他のメンバーが勧誘した方が効果的である」等そのようなマイナス思考がメンバーの中に蔓延しているなら払拭しなければならない。 JC運動の中で最も必要不可欠なものは会員の拡大であり、会員の拡大ができなければ組織の存続は勿論、私たちの運動を広める事は出来ない。だから私たちは会員の拡大を絶対に諦めてはいけない。
 私はこのまちに対する想いを有資格者にしっかりと伝播する事ができれば会員の拡大は必ず実現すると信じていた。しかし、いくら私たちが有資格者に賛同される理想論を語っても普段の行動が理解されなければその言葉には重みがなく会員の拡大には繋がらないと考える。だから私たちは己を律することから始め、自身の言葉に重みを加えた会員の拡大に挑みたい。
      始める前から諦めるな。私たちの行動が会員の拡大に繋がる。

【 組織の継承と進化 】

 本年、守山JCは先輩諸兄が築き上げてこられた40年間の活動の功績をカタチにするため公益社団法人に生まれ変わり、今まで以上に公益性と透明性を兼ね備えた活動をしていかなければならない。そのためには、チェック機能を強化し、私たちが行う諸事業に対し更に厳しい審査を行う必要がある。また、メンバーの交流の場でもある定例会についても公開例会や合同例会の実施を前向きに検討していく必要がある。
 広報活動においては、今まで以上にJC運動の見せ方について考えて行きたい。私たちの運動や活動は「JCでしかできない」という事を強調し、メディアの活用は勿論の事、対内外を問わず有益性のある情報発信に努めていかねばならない。また、渉外活動では、色々な角度から私たちの運動に対する意見や感想を受発信し、多くの市民に運動と活動の成果を伝えていきたい。
 守山JCには新入会員の登竜門とも言える伝統的な新人研修がある。本年も引き続き取り組み、歴史と実績のある研修事業を継承しようではないか。しかし、研修内容についてはある一定の基準を設け、守山JCでしか学べない指導力開発と社会開発を兼ね備えた研修事業へと進化させねばならない。
 私たちは守山JC創立40周年という節目の年に、長期活動指針「C−Link Creation」を策定した。オモイをカタチにするために本年も私たちは知識力・行動力・創造力・発言力の4つの力を高め活動していかねばならない。また、3つのステップのアプローチとして、責任を伴ったこの地域に必要とされるJCのための組織作りに努めよう。
      諦めないで取り組もう。真に提言できる団体を目指して。

【 新たな友情とメンバー同士の絆 】

 守山JCは山梨県富士五湖地域にある7つの市町村を活動地域とする富士五湖JCと2010年に姉妹提携をした。昨年までは日本JCが行う各種大会等で合同交流会を開催していたが、本年は姉妹提携をしたメリットを双方のLOMが十分に得られる交流を実現させたい。また、会員交流事業や最近では行っていない家族例会についても十分に検討検証し、メンバー同志の絆が今まで以上に太く強固なものとなる定例会や交流事業の開催に努めなければならない。
 JC活動をしていく上で、皆さんも議案で悩んだり、各種事業の準備に苦しんだりした事はあるだろう。しかし、その時点で諦めてしまうと、自分自身の価値を下げてしまいメンバー同志の友情を築くことは無理であろう。メンバーは諦めずに困難に立ち向かう姿に心を揺さぶられ「あいつの力になってやりたい」と思うからである。自分の事ばかりを考えてしまう「利己主義」と、困難から逃げ出したいという「弱い気持ち」は私たちメンバーにとって最大の敵であり、私たちは真の友情を勝ち取るため、その敵と諦めずに戦い続けなければならない。
      諦めなければ強くなれる。メンバー同志の絆を更に強固なものにしよう。

【 青年経済人として 】

 皆さんの会社の業績はどうですか。JCのメンバーにこんな質問を投げかける事はタブーな事とは分かっている。しかし、メンバーの企業でもこの先行き10年後も安心できる企業はごく一部なのではないだろうか。
 メンバーの皆さん、しっかり社業に励んでください。いくら地域貢献としてJC活動に勤しんでいても会社の業績を下げてしまっては何にもならない。本当の地域貢献とはメンバー各々の企業の発展であり、私たちは今一度、地域経済を活性化させる担い手である事を自覚しなければならない。  私はJCに入会して会社を大きく成長させた。JCでは直接的ではないが多くのビジネスチャンスがある。そのチャンスをものにして自己と企業の成長に努めるべきである。
 また、健康管理にも留意する必要がある。私たちが体調不良で戦線離脱をするようなことになれば家族や仲間に心配をさせてしまうのは勿論、会社にも迷惑を懸ける。そんな事をしているようでは地域を担う青年経済人とは呼べないだろう。 自分に甘えることなく仕事とJCを両立させよう。
      諦めた時点で、自己の成長はない。

【 大切なものを守るために 】

 あなたは何のためにJCをしていますか。あなたは誰のためにJCをしていますか。メンバーの皆さんはこの様な問いに対しすぐに答える事ができますか。
 私の友人でこう答えた者がいた。「私は大切な妻と子どものためにJCをしています。なぜなら、自分の子どもが大きくなった将来、今よりも住みにくい地域にしてしまったら子どもに申し訳がない。だからJCをしているのです」私はこの答えこそが私たちが取り組む地域創造への担いだと考える。
 今よりも住みやすい地域にするためにはまず、行政サービスや今後の守山市における政策の方向性を確認し、市行政と議会との新たなネットワークの構築に努め、この地域に対し更なる意見交換の場を設ける必要がある。また、地域の人々や志を共にする他団体との連絡調整も密に行い合同事業の開催等、一人でも多くのメンバーが「たのしく、おもしろく」地域貢献ができるように取り組んでいきたい。
 地域だけでなく国家の問題にも多く触れていく機会を設けたい。政治・経済はもとより環境・エネルギー、そして東日本大震災の復旧・復興等の多くの問題にJCとして議論を重ね、メンバー各々が日本国民としての責務を自覚する必要がある。また、教育問題についても考える必要がある。昨年まで取り組んできた家庭教育と地域教育の流れを継承しつつ本年は学校教育についても調査研究し、私たちが親の世代として知っておくべき事を確認しなければならない。教育は「国家百年の計」とも言われている。私たちは教育に対しもっと真剣に関わっていく必要がある。
      大切なものを守るために諦めずに行動する。この地域の未来に希望を与えるため。

【 結びに 】

 この守山市が市政施行により誕生して40年余り、時を同じくして1971年5月23日、守山JCも生まれた。当時は宇野宗佑元内閣総理大臣のカリスマ性に魅了された青年が真に明るい豊かな街「守山市」の実現を目指し市民の中にあって市民の良きリーダーとして地域に結びついた社会開発運動に情熱を捧げられたと聞いている。
 私たちも負けてはいられない。この国難の時期ではあるが、当時の創立宣言文に書かれた創始の理念を継承し、この守山市を今まで以上に活気に満ち溢れ、地域コミュニティーが豊かで郷土愛が育める理想的な街にしようではないか。そのためには、私たちは道徳観と伝統を重んじ、日本人としてのアイデンティティと思いやりを大切にできる文化人となり、JAYCEEとして諦めずに強い志を持ち続け積極果敢に行動しなければならない。

基本理念

 ・「C−Link Creation」の実現に向けた取り組み
 ・マイナス思考から脱却した諦めない会員の強化と拡大
 ・大切なものを守るための人間力開発と地域創造

運営方針

 ・公益性と透明性を兼ね備えた組織運営
 ・各種メディアとの連携と有益性を探求した広報渉外
 ・真の友情と絆が築ける交流事業と定例会の開催
 ・時勢に即したグローバルな研修例会の実施
 ・歴史と実績のあるフレッシュマントレーニングの継承進化
 ・公教育の調査研究と教育委員会との連携及び支援
 ・三位一体を基軸とした青少年育成事業の開催
 ・市行政・市議会とのネットワークの構築と意見交換会の開催
 ・地域事業への積極的な参画と東日本大震災に対しての支援
 ・出向者支援と各種大会の積極的な参加